FTP(File Transfer Protocol)は、ネットワーク越しにファイルを転送するための標準的なプロトコルですが、FTP通信にはアクティブモードとパッシブモードという2つのモードが存在します。これらのモードは、データ転送時に使用する接続方法に違いがあります。この記事では、アクティブモードとパッシブモードの違いについて詳しく解説し、それぞれのモードを選択する際の基準についても触れます。
1. アクティブモード (Active Mode)
アクティブモードは、FTP通信の初期のモードとして広く使用されていました。このモードでは、クライアント(ファイルを送信または受信する側)がコントロール接続を確立した後、サーバーがデータ接続をクライアントに対して開始します。
動作の流れ
- クライアントがサーバーに接続して、コントロール接続(ポート21)を確立します。
- クライアントがファイル転送を要求すると、サーバーはクライアントのIPアドレスを指定してポート20(または任意のポート)を使用してデータ接続を開始します。
- データが転送され、ファイルのアップロードやダウンロードが完了すると接続が終了します。
アクティブモードの特徴
- クライアントがサーバーに対してデータ接続を開くため、サーバー側でポートが開かれていない場合、接続できないことがあります。
- クライアントのファイアウォールやルーターがポート20をブロックしている場合、アクティブモードでの接続に問題が発生することがあります。
アクティブモードのメリット
- 転送においてサーバーがデータ接続を管理するため、クライアント側でポート管理をあまり気にする必要がありません。
アクティブモードのデメリット
- クライアントのネットワーク環境(特に企業や自宅のルーター)がFTPのアクティブモードに対応していない場合、接続できなくなることがあります。
- ファイアウォールやNAT(ネットワークアドレス変換)の影響を受けやすい。
2. パッシブモード (Passive Mode)
パッシブモードは、アクティブモードにおける接続の問題を解決するために作られたモードで、主にクライアント側のファイアウォールやNAT環境に配慮しています。このモードでは、クライアントがサーバーに対してデータ接続を開始するため、クライアントのネットワーク環境に依存しません。
動作の流れ
- クライアントがサーバーに接続してコントロール接続を確立します(ポート21)。
- クライアントがファイル転送を要求すると、サーバーはランダムなポート(通常1024〜65535の範囲)を開き、そのポート番号をクライアントに通知します。
- クライアントは通知されたポートに対してデータ接続を開始し、ファイル転送が行われます。
パッシブモードの特徴
- クライアント側からデータ接続を開始するため、クライアントのファイアウォールやNATの設定に影響されません。
- サーバー側でランダムポートが開かれるため、セキュリティ設定やポート制限が厳しいネットワークでも接続が可能です。
パッシブモードのメリット
- クライアント側でファイアウォールがある場合でも接続できるため、企業や家庭のネットワーク環境での利用に向いています。
- クライアントのネットワークが制限されている場合(例えば、NAT越しやプロキシ越し)でも安定して接続できます。
パッシブモードのデメリット
- サーバー側でポートを開く設定が必要なため、サーバー管理者による設定が求められます。
- サーバー側のリソースが必要になり、同時接続数が多くなるとサーバーに負担がかかることがあります。
3. アクティブモードとパッシブモードの違い
特徴 | アクティブモード | パッシブモード |
---|---|---|
データ接続の開始 | サーバーからクライアントへ | クライアントからサーバーへ |
クライアントのファイアウォールへの影響 | ファイアウォールに依存することが多い | ファイアウォールの影響を受けにくい |
使用するポート | ポート20(データ転送用)とポート21 | ランダムなポート(1024〜65535) |
NAT(ネットワークアドレス変換)の影響 | NAT環境で接続できないことがある | NAT環境でも接続可能 |
設定の簡便さ | クライアント側の設定が簡単 | サーバー側でポート設定が必要 |
4. どちらのモードを選ぶべきか
- アクティブモード: サーバーの設定やネットワーク環境が整っている場合、アクティブモードを使用することができます。特にサーバー側での管理が簡単な場合に適しています。しかし、クライアント側のネットワーク環境(ファイアウォールやNAT設定)に依存するため、注意が必要です。
- パッシブモード: クライアント側にファイアウォールやNATがあり、アクティブモードで接続できない場合は、パッシブモードを使用するべきです。ほとんどの現代のネットワーク環境では、パッシブモードの方が安定して動作します。特に、企業のネットワークやインターネット越しでFTPを使用する際には、パッシブモードが推奨されます。
まとめ
FTPのアクティブモードとパッシブモードは、それぞれ異なる接続方法と動作を持ち、使用するネットワーク環境や状況によって適切なモードを選択する必要があります。基本的に、ネットワーク環境に依存しない安定した接続を確保するためには、パッシブモードが一般的に推奨されます。しかし、特定の要件に応じてアクティブモードを選択することもあります。状況に応じて、どちらのモードを使用すべきかを判断してください。